第21回大会記
2017.9.5-6 神戸学院大学
統一論題 非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題
前年に第20回記念大会を、欅並木が美しい成蹊大学で迎えた非営利法人研究学会は、本年9月5日(火)から6日(水)の日程で、会場を神戸ポートアイランドのオーシャン・フロントに位置する神戸学院大学に移して開催された。今大会の統一テーマは「非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題」であり、98名の参加者が集まった。今般の非営利組織運営において重要視される課題のひとつは、「収入」を出来る限り「支出」して余剰金を生じさせないことにある。一般には「収支相償」問題と呼ばれるものである。本大会では、学会を代表する研究者4 人により当該問題と関連した統一論題報告が行われ、参加者を交えた活発な議論が展開された。なお、9月4日(月)には、常任理事会及び理事会が開催された。
大会第1日目
大会1日目には、まず会員総会が開催され、冒頭、会長である堀田和宏氏(近畿大学)による挨拶の後、担当者より種々の会務報告が行われた。このなかで、次回大会の開催校が武蔵野大学に決定し、実行委員長として同学教授の鷹野宏行氏が選任された。
統一論題報告
本大会の統一論題報告は、統一テーマを「非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題」とし、総合司会に齋藤真哉氏(横浜国立大学)を迎えて行われた。まず、出口正之氏(国立民族学博物館)より「公益認定における収支相償に係る諸問題」の報告があり、次に石津寿惠氏(明治大学)より「非営利法人における内部留保」の報告があった。最後に柴健次氏(関西大学)より「非営利法人(会計)における収入の意義」が報告された。
記念講演
統一論題報告に続いて、大会開催校の名誉教授である戸田博之氏(神戸学院大学)による記念講演が行われた。題目は「非営利的組織とカメラ―ル簿記」であり、講演者における長年の研究成果の一端が披露された。
大会第2日目
大会第2日目は、午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は2 つの会場に分かれて計8 本が報告された。各会場の報告者及び報告タイトルは以下のとおりである。
自由論題報告
第1会場 B204教室
司会:鷹野宏行氏(武蔵野大学)
・報告① 津曲達也氏(九州大学大学院博士課程)「大学同窓会における大学と卒業生のつながりの実態」
・報告② 岩崎保道氏(高知大学)「民事再生手続きによる学校法人再建の可能性」
司会:橋本俊也氏(税理士)
・報告③ 今枝千枝氏(愛知産業大学)/藤井秀樹氏(京都大学)「 地域創生活動における中間支援組織の役割と課題―広島神楽・東濃地歌舞伎の事例研究―」
・報告④ 吉田忠彦氏(近畿大学)「京都市市民活動総合センターの設立をめぐって」
第2会場 B205教室
司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学)
・報告① 川野祐二氏(下関市立大学)「『創業者統治』の機能からみる法人格選択とミッション経営」
・報告② 東郷 寛氏(近畿大学)「公民パートナーシップ施行過程の分析枠組の検討」
司会:成道秀雄氏(成蹊大学)
・報告③ 金子良太氏(國學院大学)「セクター中立会計の可能性と課題―諸外国の事例をふまえて―」
・報告④ 越智信仁氏(尚美学園大学)「地方創生に資する『地域社会益法人』承認を巡る考察―情報の非対称性を緩和する視点から―」
大会第2日目の午後からは、本学会に設置されている2 委員会の研究報告が行われ、続いて統一論題のシンポジウムが開催された。委員会報告では、公益法人会計研究委員会を代表して江田寛氏(公認会計士)、藤井秀樹氏(京都大学)、古庄修氏(日本大学)、新公益法人制度普及啓発委員会を代表して吉田忠彦氏(近畿大学)、岡村勝義氏(神奈川大学)より、委員会設立の趣旨及び全国公益法人協会創立50周年記念事業の一環として実施された委託研究報告が行われた。次にシンポジウムでは、参加者からの質疑に対するパネリストの応答を基本形式としつつ、予定時間を超過して活発な議論が行われた。
委員会報告
・公益法人会計研究委員会(委員長:江田寛氏、副委員長:藤井秀樹氏、委員:古庄修氏)
・新公益法人制度普及啓発委員会(委員長:吉田忠彦氏、副委員長:岡村勝義氏)
統一論題シンポジウム
司会:齋藤真哉氏(横浜国立大学)
パネリスト:出口正之氏(国立民族学博物館)/石津寿惠氏(明治大学)/柴 健次氏(関西大学)