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税理士 橋本俊也
キーワード:
非営利法人税制 優遇税制 収益事業課税 みなし寄附金制度
法人税の軽減税率 寄附者に対する優遇措置
要 旨:
本稿の目的は、わが国における非営利法人に対する優遇税制の現状と問題点を把握し、 税制上の課題を検討することにある。非営利法人に対する優遇税制には、「法人が行う事業 についての税制」と「法人に対する寄附についての税制」の2つがある。とりわけ、優遇税制の中でも、前者の「法人が行う事業についての税制」が問題となる。このため、本稿では「法人が行う事業についての税制」のうち収益事業課税方式、社会福祉法人への課税、 みなし寄附金の損金算入と法人税の軽減税率の適用についての問題点を明らかにし、それぞれの課題に対して検討を行った。その結果、法人の組織体制が整い、かつ財務上の透明性が確保された公益性の高い非営利法人については、法人税の納税義務を免除すべきことを提示している。
構 成:
I はじめに
II 非営利法人に対する優遇税制
III 非営利法人に対する税制の課題
IV 課題に対する検討
Ⅴ おわりに
Abstract
The aim of this paper is to consider the present condition and problem of a tax break on nonprofit organization in Japan, and examines the problem of a taxation system. The tax break for a nonprofit organization has two kinds. One is a taxation system about the work which a nonprofit organization performs. Another is a taxation system of contributions which a nonprofit organization receives. Especially an important problem is a taxation system about the work which a nonprofit organization performs. Among these, this study considered the problem about the profit business taxation to nonprofit organization, the taxation problem of a social welfare corporation, the inclusion in expenses of a deemed donation, the reduced tax rate, and performed examination to each subject. As the result, this paper suggests a nonprofit organization to which control is good order the transparency on financial statements was secured should be exempt from a taxation.
Ⅰ はじめに
法人税法における非営利法人とは、公共法人、 公益法人等又は人格のない社団等をいう。このうち、公共法人は法人税法別表第1に掲げられ、 地方公共団体、国立大学法人、日本年金機構、 日本放送協会等をいい、法人税法第4条第2項の規定により、法人税の納税義務が免除されている。公共法人以外の非営利法人は原則として法人税を納める義務がある。ただし、非営利法人については、「民による公益」を担う活動を支えるために、各種の税制上の優遇措置が設けられている。
本稿では、非営利法人への課税のあり方について検討を行うために、優遇税制の現状と問題点を把握し、今後のわが国における非営利法人に対する税制の課題について考えてみたい。
Ⅱ 非営利法人に対する優遇税制
1 収益事業課税
内国法人は、法人税法第4条において法人税を納める義務があると規定されている。ただし、 当該法人のうち公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を営む場合に限るものとされる。収益事業とは、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。」(法人税法第2条 第13項)と定義され、政令で定める事業には、34業種が定められている(法人税法施行令5条)。
法人税法でいう公益法人等とは、法人税法別表第2に掲げられ、公益社団法人・公益財団法人、一般社団法人・一般財団法人(非営利型法人に該当するもの)、学校法人、社会福祉法人、宗教法人等の特別法に基づいて設立された法人がこれに該当する。このほか、法人の根拠法において、法人税法における公益法人等とみなすものと定められているNPO法人、管理組合法人等がこれに該当する。
公益社団法人・公益財団法人は、公益認定法上の公益目的事業として認定された事業については収益事業に該当する場合でも非課税となる。 一般社団法人・一般財団法人は公益認定を受けていない法人で、非営利型法人か非営利型法人 以外の2つに分けられる。非営利型法人には 「非営利が徹底された法人」1)と「共益的活動を目的とする法人」2)という 2 つの種類があり、 それぞれに定められた要件を満たした場合に、 法人税法上は公益法人等となる。そして、非営利型法人以外の一般社団法人・一般財団法人は普通法人となり、全ての所得に対して課税が行 われる。学校法人、社会福祉法人、宗教法人等 の特別法に基づいて設立された法人は、本来の目的事業については収益事業に該当する場合でも非課税となる。
2 みなし寄附金制度
みなし寄附金とは、収益事業から収益事業以外の事業のために支出した金額は同一法人内の資産の振替ではあるが、法人税法上その金額を他の法人への寄附金支出と同等な取引とみなし、 損金算入することができるというものである (法人税法第37条第5項)。
公益社団法人・公益財団法人に対するみなし 寄附金は、所得金額の50%または公益目的に使用した金額まで損金算入できる。これに対し、 NPO法人、人格のない社団のほか、一般社団法人・一般財団法人はたとえ「非営利型法人」 であっても、みなし寄附金制度の適用対象外となる。また、認定NPO法人、学校法人、社会福祉法人に対するみなし寄附金は、所得金額の50%または200万円のいずれか大きい金額、宗教法人に対しては、所得金額の20%まで損金算入できる。
3 軽減税率の適用
公益社団法人・公益財団法人、一般社団法人・一般財団法人、認定NPO法人、NPO法人、 人格のない社団は、普通法人と同じ税率である。 これに対し、特別法に基づいて設立された法人である学校法人、社会福祉法人、宗教法人については、所得年800万円超の部分の税率は19%と軽減税率が適用される。
4 寄附者に対する優遇措置
公益社団法人・公益財団法人、認定NPO法人、学校法人3)、社会福祉法人に対して、現金の寄附を行った場合には、寄附者はその寄附をした金額について、支払った年分の所得控除として寄附金控除の適用を受けることができる。 さらに、認定NPO法人及び運営組織及び事業活動が適正であるとともに、パブリック・サポート・テストの要件を満たしている公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人に対して、現金の寄附を行った場合には、寄附者はその寄附をした金額について、支払った年分の所得控除として寄附金控除の適用又は税額控除4)の適用のいずれか有利な方式を選択することができる。
表 各非営利法人に対する優遇税制の現状
Ⅲ 非営利法人に対する税制の課題
特別法に基づいて設立された学校法人、社会福祉法人、宗教法人については、本来の目的事業については、法人税が課税されない。
このうち社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法に基づき設立された法人である。現在、少子高齢化が進む中、 障害者や高齢者などのための福祉施設や保育園などの運営主体となり、社会福祉の分野では大きな役割を果たしている。
介護保険法が平成12年4月から施行されたことに伴い、社会福祉事業が自治体の権限において提供するサービスから、利用者の契約によるサービスへと変わり、株式会社などの営利企業等が参入するなど、社会福祉法人を取り巻く環境は、大きく変化してきた。現在、在宅介護分野は75%が社会福祉法人以外の運営主体となっている。また、保育所の設置主体は、これまで市区町村あるいは社会福祉法人に限定されていたが、平成12年3月から株式会社による運営も認められることになり、株式会社が運営する保育所が大きな役割を果たしている。ところが介護事業、保育事業を行うにあたり、社会福祉法人については、前述したように法人税が課税されないが、株式会社のような営利企業はもちろんNPO法人という経営形態についても法人税が課税されていることで「税」の格差が生じている。
法人税法の基本的立場は、公益法人等において例外的に限定列挙された「収益事業」を行った場合にのみ課税することにある。つまり、非営利法人については、その営む事業が営利企業の営む事業と競合する場合、課税の公平性の観点から、その収益事業から生じた所得に対しては法人税が課税される。この考え方からすると、現在収益事業とされていない事業であっても民間企業と競合するものについては、これを随時 その範囲に追加しなければならない。これとは反対に限定列挙された「収益事業」から除外されている事業収益に対しては、それが営利事業であったとしても課税の対象とすべきでない。 さらに収益事業からの所得には、みなし寄附金の損金算入と軽減税率がともに適用されている。 みなし寄附金の損金算入を認め、その上に軽減税率が適用されることが過剰な支援であるという問題もある。
また、法人税法においては、非営利型法人の要件を満たす一般社団法人・一般財団法人は公益法人等として収益事業にのみ課税される。公益の認定を受ける場合には行政庁である内閣総理大臣又は都道府県知事に申請して承認を受け ることが必要となるが、非営利型法人に該当するかどうかの判断は、法人自身が行い、非営利型法人の要件を満たす場合でも税務署長への承認申請の届出は一切必要とされない。このため、 特段の手続きをすることなく、法人税法上の公益法人等の扱いを受けることができる。ただし、 一般社団法人・一般財団法人のうち非営利型法人の要件に該当しない事実が明らかとなった場 合には、法人税法上、普通法人に該当すること となり、全ての所得について法人税が課税され ることになる。
Ⅳ 課題に対する検討
1 収益事業課税方式
収益事業課税方式の立法趣旨は、「課税方法として個々の公益法人の事業の内容により、その事業が非常に公共性が強いときはたとえ収益事業を行っても課税せず、また公共性に乏しいときはその事業全部に課税するという方法も考えられた。しかしすべての公益法人についてその事業を精査し、公共性の強弱を判断することは事実上不可能に近いので、改正税法においてはすべての公益法人を一律に課税法人とし、その収益事業から生ずる所得に対してのみ法人税 を課税する」5)とされている。
非営利法人が収益事業を行ったとしても利益が上がらなければ問題が生じることはない。非営利法人は利益を上げることが禁止されているのではなく、剰余金の配当が禁止されることが特質である。このため、事業から得た収益を外部に流失することが可能であれば、課税問題は生じないことになる。また、本来事業のみの活動であれば、多額の剰余金が生じても問題とはならない。非営利法人が本来の公益事業を行うための収入を確保するためには、付随的に収益を目的として行う事業が許容されなければその運営が維持できない。したがって、収益事業から生じた剰余金のすべてを公益事業に充当することで課税問題から解消される。
前述したように公益社団法人・公益財団法人は、公益認定法上の公益目的事業として認定された事業は、収益事業に該当する場合でも非課税となる。つまり、公益目的事業と収益事業とが競合した場合には、公益目的事業が優先される。こうした新たな公益法人制度の創設により、 収益事業課税方式に変化をもたらした。その結果、特別法に基づいて設立された法人に対しても、この課税方式と同様に本来の目的事業と収益事業とが競合した場合は、本来の目的事業が優先されるような枠組みを築くことが必要である。
2 社会福祉法人への課税問題
社会福祉法人は、国および地方公共団体から公費助成を受けるとともに、社会福祉事業から生じた所得については法人税が課税されない。 これは、社会福祉法人が行う事業は福祉サービスを提供するために行われることが期待されるからである。社会福祉法人数は、平成2年度の13,356団体から平成24年度には19,407団体へ増加している。このうち施設経営を行っている法人数は、平成2年度の10,071団体から平成24年度には16,981団体へ大幅な伸びを示している6)。
社会福祉法人は、財源不足のため福祉サービ スを充実させることができないことを理由に公費助成の増加を要求してきたが、平成23年の社会保障審議会介護給付費分科会において、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム一施設 あたり平均約3.07億円もの内部留保が存在する7)と報告された。これは、民間事業者の参入により事業の競合が生じることになり、多くの社会福祉法人も経営の効率化を進めざるを得なくなったことにある。その結果、多額の剰余金が生じたと推定される。
旧民法第34条に基づく公益法人は、その組織体制や財務会計のあり方について大幅に見直しが行われ、公益社団法人・公益財団法人と一般 社団法人・一般財団法人に再編され、税務面においても特別な措置が適用された。
社会福祉法人においても、福祉ニーズの多様化に対応していく中で、ガバナンスの確保など社会福祉法人制度の在り方が問われており、組織体制や会計報告等を整備しなければ税制面において優遇措置を受けることができない。
非営利法人に対する優遇税制の設計は、適正なガバナンスの下で行われる公益活動は国民にとって国や自治体が行う公益活動と同等に必要なものであるから、国等が行うサービスの活動とみなし、これを税制面から支援するものである。したがって、社会福祉法人がこうした支援を受けるには、より公益性の高い法人として、 公益社団法人・公益財団法人と同等以上の組織体制や財務上の透明性の確保が条件となる。その条件が整わなければ、税制面における優遇措置を受けることができない。
3 みなし寄附金の損金算入と法人税の軽減税率の適用
非営利法人が行う収益事業は、公益事業の活動財源とするためのものである。このため、収益事業の利益は公益事業に充当される限り、みなし寄附金の損金算入限度額は100%とすべきである。このため、公益性が高いと評価されている認定NPO法人、学校法人、社会福祉法人においては、公益社団法人・公益財団法人と同等に所得金額の50%または公益目的に使用した金額のいずれか大きい金額とすべきである。収益事業による所得をすべて公益事業のために使用した場合は、法人税額はゼロとなる。みなし寄附金の損金算入適用後の課税所得を構成するものについては、公益目的以外の事業に充てる ことが予定されるので、これに対する事業に軽減税率を適用する合理性はないと考えられる。
4 一般社団法人・一般財団法人に対する課税区分の届出
一般社団法人・一般財団法人は、法人が行う公益事業の有無に関わらず準則主義により設立することができる。このため、設立された後は法人税法上の公益法人等の扱いを受ける「非営利型法人」の要件を満たしているかどうかを税務当局が判断することは困難である。
非営利型の一般社団法人・一般財団法人は、「非営利性が徹底された法人」及び「共益的活動を目的とする法人」という2つのタイプに分かれており、それぞれ定められた要件が異なる。 この要件については、いくつもあるが、その判断は法人自身が行うこととされる。また、その要件のうち、一つでも該当しなくなったときには、全ての所得に法人税が課税される。本来の税務上の手続きであれば、収益事業から生じた所得のみが課税対象となる優遇税制を受けることから、その要件を満たしたことを承認する申請手続きが一般的である。したがって、法人の 設立に際し、非営利型の法人であることを明ら かにするために定款等の届出義務を課すべきである。
Ⅴ おわりに
これまで行政が独占してきた公共サービスは、 経済再生に資する新たな取組みが求められることになり、自治体と民間企業等が協働した取組みも行われてきている。その結果、公共サービスに多様な提供主体が参入し、経営形態のみによって公益事業を定義することが困難になってきている。このため市場経済の変化を踏まえ、 介護事業や保育事業のように民間事業者との競合が発生している分野においては、経営形態間での課税の公平性を確保していく必要がある。 特に収益事業の範疇であっても、特定の事業者が行う場合に非課税とされている事業で民間と競合しているものについては、これまで非営利法人が果たしてきた役割も踏まえながら、法人税法上における収益事業の範囲の見直しが必要である。
さらに、わが国の非営利法人制度は、平成20年に旧民法第34条に基づく法人について改革が実施され、それに続き社会福祉法人についても平成28年社会福祉法改正により、公益性及び非営利性を確認する観点から改革が実施された。 ただし、学校法人、宗教法人等の特別法に基づいて設立された法人については、現在でも改革が行われていない。このため、特別法に基づくすべての法人制度の見直しを行い、公益性及び非営利性の基準を設けて選別をした上で、特定の事業だけを非課税にするといった見直しが必要である。
みなし寄附金制度については、法人格によりその適用の有無、さらに損金算入限度額が異 なっている。このため、法人格の異なる非営利法人間において、同じ事業で競合する場合には課税の公平性が維持できないため見直しが必要である。
また公益社団法人・公益財団法人に対するみなし寄附金は、所得金額の50%または公益目的に使用した金額まで損金算入できる。つまり、 収益事業による所得をすべて公益事業のために使用した場合は、法人税額はゼロとなる。これに対し、非営利型の一般社団法人・一般財団法人は、みなし寄附金制度の適用対象外となる。 こうした取扱いは制度としてのバランスに欠けているため見直しの余地がある。
パブリック・サポート・テスト8)は、一般市民から広範な支援を受けているかどうかを判断するための基準である。この基準を用いて、公益社団法人・公益財団法人、認定NPO法人、学校法人、社会福祉法人においては、寄附者が支払った寄附金に対して税額控除が導入されている。こうした税額控除の対象法人になるためには、所轄庁に申請し、要件を満たしている旨の証明を受けなければならない。このため税額控除の対象法人は、市民から支持されている法人である。さらに公益性の有無及び不特定多数の便益を与えているどうかを活動面からチェックするパブリック・ベネフィット・テストにお いて公益性の評価を受けた法人である。したがって、法人の組織体制が整い、かつ財務上の透明性が確保された公益性の高い非営利法人については、法人税の納税義務を免除することも考えるべきであろう。
[注]
1)非営利が徹底された法人とは、次のすべての要件に該当しなければならない。
① 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。
② 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与するこ とを定款に定めていること。
③ 上記①及び②の定款の定めに反する行為 (上記①、②及び下記④の要件に該当して いた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含む。) を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
④ 各理事について、理事及びその理事の親族等である理事の合計数が、理事総数の3分の1以下であること。
2)共益的活動を目的とする法人とは、次のすべての要件に該当しなければならない。
① 会員に共通する利益を図る活動を主たる目的としていること。
② 定款等に会費の定めがあること。
③ 主たる事業として収益事業を行っていないこと。
④ 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。
⑤ 解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定め ていないこと。
⑥ 上記①から⑤まで及び下記⑦の要件に該当していた期間において、特定の個人又は 団体に特別の利益を与えることを決定し、 又は与えたことがないこと。
⑦ 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事総数の3分の1 以下であること。
3)寄附した者に特別の利益が及ぶと認められるものは、寄附金控除の対象とならない。
4)小口寄附の場合には、税額控除を選択した方が有利となる。
5)大蔵省主税局調査課「所得税・法人税制度史草稿」昭和30年、266頁。
6)厚生労働省 平成26年8月27日 第1回社会保障審議会福祉部会資料「社会福祉法人基礎 データ集」
7)厚生労働省 平成25年5月21日 第 7 回社会 保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会資料「特別養護老人ホームの内部留保について」
8)パブリック・サポート・テストの判定にあたっては、①相対値基準と②絶対値基準のい ずれかの基準を選択することができる。
① 相対値基準
実績判定期間における経常収入金額のうちに寄附金等収入金額の占める割合が 5 分の1以上であることを求める基準である。
② 絶対値基準
実績判定期間内の各事業年度中の寄附金の額の総額が3,000円以上である寄附者の数が、年平均100人以上であることを求める基準である。
※ 平成28年1月1日より、公益法人の各事業年度の公益目的事業費用等(学校法人においては私立学校等の経営に関する事業の費用、社会福祉法人においては社 会福祉事業費用)の額の合計額が1億円 に満たない場合には、年平均の判定基準となる寄附者数が100人以上であることとする要件を、その公益目的事業費用等の額の合計額を1億円で除した数に100 を乗じた数(最低10人)以上であるとと もに、その判定基準となる寄附者に係る 寄附金額の年平均金額が30万円以上であることが要件に加えられた。
※ 認定NPO法人については、上記の2つの基準のほかに条例個別指定(認定 NPO法人としての認定申請書の提出前日までに、事務所のある都道府県又は市区町村の条例により、個人住民税の寄附金税額控除の対象となる法人として個別に指定を受けていることを求める基準) による要件が認められている。
[参考文献]
石坂信一郎[2014]「わが国における非営利法人税制の起源」『札幌学院大学経営論集』 No.6。
武田昌輔[2000]『[新訂版]詳解公益法人課税』全国公益法人協会。
武田昌輔[2011]「総説」『日税研論集』 VOL.60。
成道秀雄[2011]「非営利型法人」『日税研論集』VOL.60。
成道秀雄[2014]「非営利法人税制の今後の課題」『税務通信』69⑵。
成道秀雄[2014]「一般社団・財団法人への移行期間を終えての税制課題」『非営利法人研究学会誌』VOL.16。
(論稿提出:平成28年11月30日)
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